なぞなぞ君の気まぐれメモ

この広い世界知らないことばかりなエッセイ

街路樹の話~まちと樹の共生

f:id:nazonazox:20180909232602j:plain

建設コンサルタンツ協会誌の『Consultant』を読んで・・・ということで。特集テーマは「まちと樹の共生~木とのつきあい方を探る」となっています。以下、描かれている記事の引用です。(文責;なぞなぞ君)

街路樹の資質としてあげられるのは、樹勢の強健なこと
①土がやせていても生育できること
②乾燥に抵抗力があること(道路は乾きやすい)
③強い太陽熱に耐えられること(路面は反射熱が強い)
④大気汚染に耐えられること
⑤病虫害に対して抵抗力があること(生育環境が厳しく、樹木の健康状態を悪化させやすい)
⑥浅根性ではなく深根性の樹木が望まれる(狭い植え枡での生育環境は厳しい)

明治40年東京市は、トチノキアオギリ、サクラ、イヌエンジュ、エンジュ、トウカエデ、ユリノキスズカケノキイチョウトネリコの10種を街路樹種として選定した。

昭和29年には、イヌエンジュをニレに代え、ケヤキ、ポプラ、ニセアカシア、ヤナギの4種を加えて14種とした。これらの樹種は樹勢が強健なことに加えて、樹姿が優美なこと、樹性が衛生的なこと、剪定に耐えること、上長成長が旺盛などの条件を備えている。しかしその後、厳しい都市化による街路環境の悪化で、利用されなくなった樹種や、既に姿を消した樹種もある。(以上、東京農工大学地域環境科学部・濱野教授)

全国には700万本近い街路樹が植えられている。平成24年国土交通省の統計によると、全国に植えられている街路樹で最も本数が多いのは順に、①イチョウ②サクラ③ケヤキハナミズキ⑤トウカエデ⑥クスノキ⑦ナナカマド⑧日本産カエデ⑨モミジバフウプラタナス

街路樹には枯れにくい強さ、美しさ、管理しやすさなどが求められる。イチョウは大気汚染や剪定に対して強いこと、黄葉の美しさから、ここ数十年、1位を保ち続けている。2位のサクラ類は花がきれい。3位のケヤキは樹形が美しく丈夫。

ただし、街路樹には気候や文化を反映した地方色がある。寒冷な北海道ではナナカマド、針葉樹のアカエゾマツなど。九州ではクロガネモチやクスノキといった常緑樹が目立つ。

f:id:nazonazox:20180909232241j:plain

平安京には既にヤナギの木が植えられていた。明治末にはそれまでのヤナギ、サクラを改め、以下の10種を選定。在来種のトチノキ、ミズキ、トネリコアカメガシワ外来種イチョウプラタナスユリノキアオギリ、トウカエデ、エンジュ。しかし、在来種は生育が悪く、植えらることはほとんどなかった。

昭和29年の統計を見ると、1位のプラタナスと2位のイチョウで全体の樹種の52%。その後、平成24年までの約60年の間に街路樹の総本数は20倍、樹種も多様化の一途。中でも前述のようにイチョウやサクラは昔も今もよく植えられている。

かつて人気があったのに、今は下位に転落したのは、プラタナス、ポプラ、シダレヤナギ、ニセアカシア。これらは成長が速く、剪定コストもかさむし、根が浅く、歩道の舗装を持ち上げたり、強風で倒れやすい。

一方、ハナミズキは急激に増加した。花や紅葉の美しさ、成長も遅く、剪定のコストもそれほどかからない。また、ケヤキは成長が速く、大きくなって日陰を作ってくれるが、剪定コストがかかる。しかし、郷土種でもあり、樹形も美しいため、戦後とても増えた。近年では省スペースで省コスト型の小型品種(ムサシノ)が使われることもある。

街路樹は道路の附属施設である。歩行者を強い日射しから守ったり、安らぎを与えたり、ドライバーの視線を誘導したりなど、様々な役割を担う。しかし、鉄やコンクリートで出来た施設と違い、街路樹の管理には独特の難しさがある。

①剪定;剪定回数を減らすためばっさり刈り込んだり、落葉樹の落ち葉に対する住民の苦情を避けたり、実(トチノキなど)が歩行者に当たったり、車に傷をつけることを避けるため「強い剪定」をする

②健康管理と更新;道路は樹木にとって生育しやすい環境とは言えない。思うように根を伸ばせない狭い空間(植え枡)に植えられ、車の排気ガスを浴び、歩行者に根を踏みつけにされる。また、病原菌や害虫の攻撃にも常にさらされている。衰弱した木は倒れたり、枝が落ちたりして危険なので、伐採・更新が必要

③逸出;かつてよく街路樹として植えられたニセアカシア(北米原産)、シンジュ(中国原産)、近畿に多いナンキンハゼ(中国原産)など、その土地の在来種を圧迫したりして、生態系への影響が懸念される

サクラは人気があるが、根が浅く舗装を持ち上げるため、高齢者の転倒のリスクが増える。

街路樹には多くの試行錯誤があった。気候、都市環境、病原菌、害虫に対する対する適性、社会のニーズに対する適性を試しながら植えられてきた。
(以上、森林インストラクターの渡辺一夫氏)

Book Review; "Civic Engineering Consultant" October 2016 Vol. 273
Trees are more than just beautiful additions to urban life. They are an essential component of the City's ecosystem and provide enormous environmental and social benefits. They help manage stormwater, reduce air pollution, sequester carbon, save energy, increase property values, provide wildlife habitat, calm traffic, provide a more pleasant pedestrian experience and benefit human health. (Source: San Francisco Public Works)